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犬や猫に必要な栄養って、人間と違うの?

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犬や猫に必要な栄養って、人間と違うの?

 犬や猫の食事は人と同じものでいいと思いますか? その答えを考えるために、まず犬や猫に必要な栄養は人とどう違うのかを調べてみましょう。

■犬や猫に必要な栄養素

 まず初めに、犬や猫にとって、どれくらいの種類の栄養素が必要と言われているか、ご存知ですか? いま、わかっているだけのものを並べてみましょう。そして、それらが、人間とどう違っているのかをみていきましょう。

 犬や猫に必要な栄養素を大きく分けると、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミンです。それに、もちろん水も必要です。また、炭水化物や繊維も栄養という観点以外の点で重要な役割を持っていますが、それはまたの機会にお話しします。それでは、まず、蛋白質につい
てですが、蛋白質はただそれを食べれば良いというものではなく、その中身が重要です。すなわち、蛋白質はアミノ酸というものでできていますが、そのアミノ酸には、必須アミノ酸といって、犬や猫の体内では作られないので、必ず食事から取らねばならないものが、犬で12種類、猫で14種類あります。

 次に脂質ですが、脂質に含まれる脂肪酸というものについても、必須脂肪酸というものがあり、これも体内では作られないので、食事から取らねばなりません。必須脂肪酸は犬ではリノール酸1種、猫ではリノール酸とアラキドン酸の2種です。

 さらにミネラルは犬、猫ともに12種類、ビタミンは犬で11種類、猫では14種類(タウリンを含む)が必要です。

 これらを全部足してみると、必要な栄養素の種類は、犬で36種類、猫では41種類にもなります。こんなにたくさんの栄養素を必要な量だけ、バランスよく食事から取らないといけないわけです。
犬や猫にとって、栄養的に問題ない食事を作るのって大変そうですね。

■人に必要な栄養素

 今回は人に必要な栄養素についてです。厚生省の発表している「第6次改定日本人の栄養所要量」(⇒http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html
を見てみると、人に必要な栄養素は大きく分けて、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミンである点は犬や猫と同じです。

 しかし、蛋白質中の必須アミノ酸や脂質の中の必須脂肪酸については言及していません。人には必須アミノ酸や必須脂肪酸がないということではなく、通常の食事で問題なく摂取できるということでしょう。ビタミンとミネラルについてはそれぞれ13種類が必要であるとしています。さらにそのそれぞれに、これ以上食べると健康上よくないと思われる量を「許容上限摂取量」として記述しています。

 さらに、細かいところでは食物繊維や糖質の摂取量や脂質の種類別の摂取割合についても言及していて、全体的にみると、より健康維持を重視した内容になっています。(詳しくは上述のURLを参照してください。)

 さて、こうしてみてみると表現の違いはあれ、必要な栄養素の種類というのは大まかに見れば、人も犬や猫とそんなに違うものではないということです。しかし、細かいところをみると多少の違いはあり、実はそれが重要なことがままあります。特に猫でそれが顕著です。

■人と違う栄養素の種類

 前回、述べましたように必要な栄養素の種類というのは大まかに見れば、犬や猫も人とそんなに違うものではありませんでした。しかし、細かいところをみると多少の違いはあり、実はそれが重要なことがままあります。特に猫でそれが顕著です。

 たとえば、人の必須脂肪酸はリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸と言われていますが、アラキドン酸はリノール酸から人の体内で合成されますので厳密には前の2種類ともいわれます。ところが、猫はアラキドン酸を体内で合成することが殆どできません。特に、
雌猫はそうです。アラキドン酸が不足すると元気な仔猫が生めなくなるので大変です。

 別の例を挙げましょう。必須アミノ酸は犬や猫の方が人よりも種類が多いので注意が必要です。例えば、アルギニンというアミノ酸は人では必須アミノ酸ではありませんが、猫はこれが欠乏すると2時間程度で死に至るというほど重要な必須アミノ酸です。実際には
普通の食事をとっていれば、アルギニンが欠乏するということはまずないので、問題となることはないのですが。

 まだ他にもあります。人では必須でなくて猫では必須なアミノ酸としてタウリンが有名です。(そうなんです。人では必須ではありません。元気は出るみたいですけど。「ファイトいっぱ〜つ!」) タウリンが足りないと失明したり、心臓の病気になったりします。面白いことに、アラキドン酸やタウリンは動物性の食品に多く含まれていて、猫が元来、肉食であることのあかしではないかと思われます。

 以上のように犬や猫に必要な栄養素の種類は人と多少違うところがあり、実はそれが重要なのです。上にあげた例以外にも人と違うところがいろいろありますので、犬や猫に食事を作ってあげる時はそのようなことをよく知った上で作ってあげることが大切です。

 いままでは、栄養素の種類について述べましたが、各栄養素の必要量ということになると、これまた人と違うところがあります。次回はこの点についてお話しします。

■人と違うエネルギー所要量

 今回からは必要な栄養素の量についてですが、栄養素の話しに行く前に必要なエネルギーの量、即ちエネルギー所要量について述べてみましょう。エネルギー所要量はいろんな条件によって大きくかわります。例えば、人でも、育ち盛りにはたくさん必要ですし、年を取るにつれ少なくなります。

 そこで、今回は条件を、人は18〜29歳の大人、猫は1歳以上の成猫で比較してみます。そうすると、詳しい計算は省きますが、猫の場合、体重1kg当りに必要な1日のエネルギー量は人の約2倍です。

 一般的に動物のエネルギー所要量は、体重当りの体表面積に比例すると言われます。体表面積が大きいほど、体から失われる熱量は当然大きいわけですが、実は体の小さい動物ほど、体重当りの体表面積は大きくなります。ですから、猫は人間よりずっとエネルギーを必要とするということになるわけです。他の条件が同じなら、それだけ猫は高カロリーなものを食べる必要があるともいえます。

 一方、犬の場合はもっと複雑です。なぜならチワワの2kgからセント・バーナードの60kg以上まで、その体格に大きな差があるからです。エネルギー所要量的には別の動物と考えた方が良いほどです。犬種による食事の違いを考えることの必要性はこんなところからもうかがい知る事ができます。

 また、エネルギー所要量は季節によってもかわります。例えば猫は、人よりもずっと体が小さいので、前述した体表面積の理由により、気温の変化の影響を大きく受けます。

 夏場の暑い日中は全く動かずじっとしているのをみかけることが多いでしょう。当然エネルギーの消費量も少なくなります。逆に冬の寒い日は体温を維持するためにたくさんのエネルギーが必要となり、その量は1.5倍にも達すると言われています。ところが、胃のサイズは夏も冬も同じですから、当然冬にはカロリーの高い食べ物をあげなければなりません。季節によって食事の内容を変える必要性があるわけです。


■人と違う蛋白質の必要量

 さて、今回は蛋白質についてです。前回述べたエネルギーと同じ ように蛋白質の必要量も条件によってかわります。蛋白質は体の筋 肉を構成する成分ですから、育ち盛りにはたくさん必要ですし、年 を取るにつれ少なくなるのは人も動物も同じです。そして、犬や猫 は人よりもかなり多くの蛋白質を必要とします。特に、猫は元来肉 食であるため、より多くの蛋白質を必要とします。

 そこで、今回も条件を、人は18〜29歳の大人、犬や猫は1歳 以上の成犬、成猫で比較してみます。そうすると、詳しい計算は省 きますが、体重1kg当りに必要な1日の蛋白質量は、犬は人の約 3.5倍、猫は約5.5倍も必要です。ですから、人と同じ食事をし ていたのでは、犬や猫は蛋白質不足になってしまうというわけです。

 なるほど、それでは猫には肉をたくさんあげればよいのかと言っ て、人が食べる肉、いわゆる精肉ばかりを多く与えると簡単に健康 を害します。それは、肉に含まれるミネラルのバランスのせいです。

 ミネラルについてはまたいずれ詳しく述べますが、例えば、カル シウムとリンはその量と共ににバランスがとても重要で、カルシウ ムをリンの約1.2倍〜1.5倍取る必要があるのです。しかし、精 肉中のカルシウムは逆にリンの30分の1程度しかなく、極端なア ンバランス状態なのです。

 このように食事はあるひとつの栄養素だけをとらえて考えるのは 間違いで、全体のバランスがとても大切なのです。よく猫にささみ などの肉だけを与えている方がいらっしゃいますが、栄養のバラン スは大きく崩れていることを覚えてください。猫科の動物は獲物を 食べるときに筋肉だけを食べているのではないということです。

■脂肪の必要量

 さて、今回は脂肪についてです。最近、人の間では脂肪は人気がありません。というより、敵のように言われます。というのも、脂肪は他の栄養素(蛋白質や炭水化物)に比べて2倍以上のカロリーを持っているので、肥満の大敵として嫌われているのです。

犬や猫でも、肥満はひろがっているようで、動物病院にくる犬や猫の3割以上が太っているなどといった記事を読むことが多くなりました。実際、HOLINFに登録していただいている犬や猫たちも3割近くが普通より太っているとアンケートに答えています。

ところで、この嫌われ者の脂肪は犬や猫にとって、どれくらい必要なのでしょうか? 実はこの答えは正確には答えにくいのです。エネルギーの供給源としては、脂肪がなくてもかまわないという説もあるくらいです。

脂肪の必要性がはっきりしているのは第1回の時に述べた必須脂肪酸の供給源としてと、脂溶性ビタミン(油に溶けるタイプのビタミン)を運ぶ役目としての2つです。また、成長期や授乳期等のエネルギーがたくさん必要な時には、食事中のカロリーを上げるために脂肪がどうしても必要ですし、脂肪が多いと食事のおいしさが増すので、そういった意味でも脂肪は大切です。

絶対に必要な脂肪の量というのは正確にはわかりにくいのですが、一応、大雑把な目安としては大人の犬で、食事中に5%、猫では9%は必要と言えるでしょう。これは人の成人男子と比較して犬で約半分、猫では人とほぼ同じと言えます。

一方、脂肪をどれくらいたくさん食べられるか言う点では、犬や猫は人間よりたくさん食べても平気です。特に、猫は肉食動物ですので、蛋白質や脂肪の多い動物性の食事を十分に利用できるような体の仕組みになっていて、とりわけ高脂肪のものを消化するのは得意です。食事中に4割くらい脂肪がはいっていても平気で消化してしまいます。

最近、人の世界では、脂肪を構成する脂肪酸をどのような比率で食事から取るべきかが話題になっています(DHAをもっとたくさん食べようというような話しを聞いたことがありませんか?)。実際、厚生省の「第6次改定日本人の栄養所要量」にはそのような記述があります。(⇒http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html
しかし、犬や猫では残念ながらそこまで詳しいことはまだよくわかっていません。

■炭水化物の必要量

 炭水化物はエネルギー源となる糖質と消化吸収しにくい繊維に分かれます。ここでは主に糖質についてお話しします。(繊維についてはいずれまた詳しくお話しします。)

 犬や猫に必要な糖質の量は、実はまだよくわかっていません。糖質以外の栄養条件をうまく調整すれば、糖質を全く含まない食事を妊娠、授乳期の犬に与えても、妊娠や子育てには何の問題も起きなかったという実験結果もあるくらいです。
また、そり犬などの激しい運動を行う犬たちには、糖質が少なく高脂肪の食事の方が運動能力が高まるとも言われています。

しかし、通常の活動状態であればエネルギー源の半分近くが糖質であったとしても、特に問題はないと言われています。

つまり、他の栄養素のバランスが取れていれば、糖質がないからといってすぐに重要な健康上の問題がおきるわけではありませんし、逆に糖質がある程度多くても問題ないといえるのです。

 一方、人にとっては糖質は非常に重要で、人が肉や脂肪だけでエネルギーを取ろうとすると、肝臓や腎臓などに負担ばかりかかってよくありません。厚生省などはエネルギー源の半分以上を糖質から取ることを推奨しています(犬や猫では半分以下が望ましいでしょう。)つまり、糖質は人に非常に適したエネルギー源ということがいえます。

 ところが、犬や猫では先ほど述べたように、糖質はさほど重要ではありません。逆に糖質がエネルギー源の半分以上もある食事というのは犬や猫にとっては、あまりよくありません。

こんな例え話があります。「犬は本籍が肉食、現住所は雑食。猫は本籍も現住所も肉食。」 つまり両者とも元々は肉食ですから糖質を消化するのが苦手です。ですから、穀類など糖質を多く含むものを与える場合には、十分に加熱処理して消化しやすくなったものを与えるなどの注意が必要なのです。

特に、現住所も肉食である猫は糖質が苦手です。糖質を消化するために膵臓からアミラーゼという酵素がでてきますが、この酵素の能力が犬の方が猫より3倍も高いのです。つまり、糖質を消化する能力は犬の方が猫よりもかなり優れており、このことからも、犬と猫に同じ食事を与えるのは考え物といえます。

最後に
 この文章はあくまで小動物栄養学に関する一般論を述べたものです。すべてのペットにこの内容があてはまるわけではありません。ご利用にあたっては各人の責任と判断においてご利用くださるようお願い致します。

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