(なぜ、ペットに食材で食事を作ってあげるの?)
ペットフード用原料の常識
ペットフードにはペットフード用の原料(すなわち人間が食することができずに廃棄する部分、副産物、あるいは飼料用原料)を使用するのがペットフードの常識です。
ペットフード用原料とは具体的にはどんなものか
現在、ペットフード用の原料として使われているものは穀類としては小麦のフスマの部分であったり、米の糠の部分であったり、豆類では大豆の油を搾り取ったあとの粕であったりすることが多いのです。また、穀類そのものを使う場合であっても、価格面から、穀類の中でも犬や猫にとって消化しづらい飼料用トウモロコシが使用されることが多く、高価だが消化しやすい米が使われることは少ないのが現状です。
肉食である猫にとって、こうした質の悪い穀類原料は非常に消化しづらいものです。また、犬は準雑食性とはいえ、解剖学的にも生理学的にもまだまだ肉食です。例えば消化管の構造は肉を消化するのに適しているため、犬にとってもこうした原料はあまり消化しやすいものではありません。こうした原料がいろいろな問題の要因となっている可能性があります。そのことについては後述します。
また動物性原料として使用されるのは内臓や骨の食用に使われない部分です。これらはもちろん食品ではありません。こうした原料から作られる肉粉や肉骨粉と言われるペットフード用の原料は製造工程の衛生面でいろいろと問題があると言われています。それが原因で医学的な問題が起きているのではないかとする説もあります。このことについても後述します。
汚染の問題
そして、こうした副産物原料は人間の活動によって発生した汚染物質を食品である部分よりたくさん取り込んでいる部分ではないかと思われます。実際、米糠の農薬汚染度は白米の部分より高いという話しを聞いたこともあります。抗生剤やホルモン剤を多投された牛たちの内臓や骨は肉骨紛となって、飼料として再び牛達に与えられます。このサイクルによって汚染物はどんどん濃縮されている可能性もないとは言えません。そうしたことによって、これらの原料は、いまでは、生物が食物として利用するのにはあまり適切とは言えない原料になってしまった可能性があるのです。
(また、化学物質による汚染の問題とは異なりますが、狂牛病の問題もこのサイクルによって発生しています。ただ、この狂牛病のおかげで今ではこのサイクルはストップされているはずです。)
動物性原料の問題
肉粉、肉骨粉、魚粉などは死後、時間の経過した屠殺動物や魚を使用することや、製造過程での衛生状態に問題が多いことから、細菌が繁殖し、そうした細菌の産生する内毒素が多く含まれていたりする粗悪なものが結構あります。こうした粗悪な肉骨粉等を分析するとヒスタミンが高濃度に含まれています。これは細菌汚染があったことの可能性を示しています。また、製造過程での衛生状態の悪さは多くの肉骨粉がサルモネラで汚染されていることからもうかがえます。実際、サルモネラフリーの保証ができる肉骨粉の製造業者はほとんどありません。サルモネラ菌は内毒素を産生します。もちろん、こうした内毒素を産生する菌は肉骨粉の製造過程の加熱で一旦は死滅しますが、内毒素は残ります。また、サルモネラ汚染の問題は加熱工程以降の工場内の衛生管理に問題があるために、加熱後に再汚染されてしまう場合が多いのです。こうした内毒素や細菌に汚染された肉骨粉を使用したフードをペットに与えると、その内毒素が結腸にまで届き、そこで、腸粘膜に炎症性損傷を引き起こし、粘膜の透過性を亢進させます。そうすると、普通なら吸収されないようなアレルギーを引き起こす物質の吸収が容易におこり得ます。こうしたことがペットに多発するアレルギー性疾患の要因ではないかとする説もあります。もちろんこうした汚染は下痢などの胃腸障害の原因にもなりえます。
植物性原料(穀類)の問題
例えば、前述したような質の悪い穀類を、元来は肉食であるペットに与えると彼らはそれを十分に消化できません。そうした穀類の消化されない部分は結腸に届きます。その時、透過性の亢進した腸粘膜はこうした未消化の物質を容易に取り込んでしまい、それが、アレルギーのもととなる物質として作用するとも言われています。
ペットフードから手づくり食に変えたら、皮膚疾患が治ったというような例は、こうしたペットフードの使用原料の問題を現しているのかもしれません。
食品使用の意義
汚染の問題はペットフードにそのような副産物を使うこと自体が悪いのではなく、人間の活動によって、そのような副産物が食品より高濃度に汚染されてしまったかもしれないことの方が本質的な問題です。また、肉骨粉の問題も食品のように衛生的に製造すれば、問題は少ないのかもしれません。
一方、元来は肉食である犬や猫に、質の悪い穀類をを大量に含んだフードを与えるのはやはりお薦めできません。
しかし、現実にはこれらのことをクリアしたペットフードはほとんど存在していないと言ってよいでしょう。実際、汚染の問題をクリアしていても、食性に反した原料を多量に使用しているペットフードも数多くあります。ですから、食品を使用することに意義があるのです。
実際、質の良い食品原料で作った食事を与えると、調子の悪かった犬や猫たちが健康を取り戻す事例が数多くあります。食品の汚染が取りざたされてるとはいうものの、ペットフード用の原料に比べれば、まだずっとましなようですし、上述したように汚染以外の問題でも食品を使用する意味は大きいのです。
ペットフードしか選択肢がないわけではない
とはいえ、個体の生命力には差がありますので、副産物を利用したペットフードを食していても、健康に生き長らえる犬や猫がたくさんいるのも事実です。ですから、要は各々の犬や猫の状態に応じて食を選んであげる必要があると思うのです。なんでもよいからペットフードでは、健康を損なう例が多くなっているということでしょう。
犬や猫の健康のためにその食性に適した食事を!
犬や猫達が人間の役に立たない資源を食して、健康に生き長らえることができれば、それは確かに意味があるのかもしれません。彼らにそのような能力があればそれを活用するのも資源の有効活用をする上ではよいことかもしれません。世界では飢えで苦しんでいる人もたくさんいるのに、なぜ、ペットに食品原料を与える必要があるのかという意見もあります。
しかし、犬や猫たちを身近においてコンパニオンアニマルとして、大切にし始めたのは人間の方です。家族の一員として処遇するのであれば、それなりの対応が必要です。家族の一員として認めた時から副産物で食を全うするという考え方だけでは通らない場合もでてくるのではないかと思えます。特に副産物そのものが汚染や製造面でいろいろな問題を含んでいたり、犬や猫の食性そのものに反していて彼らの健康が損なわれそうなとき、そのために食品を使用することも許されてよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?長々とここまで、読んで下さった愛犬家愛猫家の方々はもちろん賛成していただけると思うのですが・・・。
(
確かに、世界には飢えで苦しむ人もたくさんおりますが・・・)
追記: ところで、最近の狂牛病騒ぎなどを見ていますと、動物の食性に反したものを与えることの危うさを実感してしまいます。生物はやはり本来食すべきものを食することが重要なのです。
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