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尿

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尿

■尿とは

 尿とはみなさん御存知のとおり、おしっこです。食べ物は体内で消化、吸収されて栄養分となり、体内の構成成分(例:骨、筋肉)になったり、活動のためのエネルギーになったりして利用されますが、その過程でゴミ(老廃物)が発生し、そのまま体内にためてお
くと害になるので体外に出さなくてはなりません。

また取りすぎた栄養分や、体内でこわされた(分解された)ものもそのまま体内に蓄積されると害になります。これらのものを体外に排泄するのが尿の大きな役割です。もちろん尿のほかに動物の体からでるもの(息、汗、便、その他)にも老廃物が含まれています。

さて、尿にはそのような重要な役割があるので、量や濃さなども大事ですがどんなものが含まれているのかという点も、動物の体内で何が起きているのか知る大事な手がかりとなります。

■尿検査

 ヒトの健康診断でもよく尿検査を行いますね。できれば動物でも年に1回はしていただきたいと思います。尿は腎臓で作られますが、腎臓の病気だけではなく、体の中の他の病気でも尿検査項目に反応が出てきます。それほど尿には病気に関する様々な情報が含まれています。ここでは簡単に尿検査の項目についてお話します。

1)尿糖

 まず糖尿病については誰でも聞いたことがあると思いますが、尿に糖が含まれていると糖尿病の可能性があります。これは血糖値(血液中の糖の量)が上がりすぎると、尿中に糖が排泄されるようになるからです。

糖尿病については他の獣医学関連のホームページなどでも紹介されていますし、ここで紹介しても糖尿病だけで終わってしまいそうですので省略します。ただし尿糖が検出された場合は、体の中でただならぬ変化が起きていると考えてください。

2)pH

 尿のpHというのは尿が酸性なのかアルカリ性なのかを判断する数値です (厳密には学問的に正しくない表現かもしれません)。私達はこの数字を元に尿の状態を判断しています。

pHというのは7がちょうど真中の中性でそれより低いと酸性、高いとアルカリ性となります。犬、猫などの動物ではpHが約6〜7の間(つまり酸性)が正常値となります。但しウサギや牛などの草食動物では尿のpHは8ぐらいでアルカリ性が正常値となります。

 酸性、アルカリ性が問題となるのは主に尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)結石の時や、膀胱炎の時です。猫に多いストルバイト結石は尿が酸性では出来にくく、また溶けやすくなります。(注:ストルバイト結石は犬でもあります。)

ストルバイトとはリン酸アンモニウムマグネシウムというのが正式名称ですが、つまり体内から排泄される老廃物の形です。これは尿が酸性の時はリン、マグネシウムなどはバラバラで尿中に溶けた形(液体)が多いのですが、アルカリ性になると結晶(つまり固体)として尿中にでやすくなります。

この結晶があるからといってすぐ病気という訳ではありませんが、結晶は固まって大きな石の形になったり、尿道(尿の出口)につまってしまう場合があるので要注意と考えるべきです。

 また膀胱炎では尿中の細菌が自分たちが暮らしやすいように尿をアルカリ性にしてしまいます。そうなると前述のストルバイト結晶の問題も出てきますので、尿を酸性にしてストルバイト結晶が出来にくくするとともに、細菌が暮らしにくくする必要が出てきます。
また尿中の細菌は薬が効きにくく、退治するのに時間がかかるので尿を酸性にすることで治療の一助にもなります。

3)潜血

 文字からお分かりのように、尿中に含まれる血液成分を示しています。ただし、血液だけでなく、血液中のヘモグロビン(体内に酸素を運ぶ役目をしている色素)や、筋肉中のミオグロビンというものが尿中にふくまれていても反応が出ます。つまり潜血反応が陽性の場合、単純におしっこに血が混ざっている他にさまざまな病気の可能性が考えられます。

@)血液(赤血球)が混ざっている場合:
この場合多いのはやはり膀胱炎や尿路結石などによる炎症から出血していることです。また事故や腹部外傷などでは腎臓、尿管、膀胱、尿道などからの出血の可能性があります。他にわんちゃんの男の子であれば前立腺炎等の可能性があります。 

A)ヘモグロビ ン、ミオグロビンが混ざっている場合:
この場合では溶血性疾患(血液中の赤血球が壊れてしまうこと)によりヘモグロビンが尿中に含まれているか、筋肉疾患や、外傷により筋肉中のミオグロビンが尿中に出てくる場合があります。

 溶血性疾患の場合、原因はいろいろありますが、ねぎ、玉ねぎ 類を食べたときの中毒、ダニによって感染するバベシアという寄 生虫、また自己免疫性溶血性貧血など血液が壊れることによる貧 血症状等の可能性があります。
 従って、尿中に血液が混じったような色をしている場合、緊急 疾患となる可能性があるのでお散歩の時やトイレの尿の色を普段 からよく観察しておくことが大切です。もちろん尿の色がおかし いと思われたときは、一度尿を取って動物病院で検査してもらう ことをお勧めします。

4)ビリルビン

 上に挙げた以外に尿の色が変わる原因として、尿中にビリルビンが混じっている場合があります。ビリルビンは主に血液中のヘモグロビン中の鉄分にあたるものが体内で変化したものです。ビリルビン自体は異常な物質ではなく、通常は肝臓から消化液(胆汁)の一部として腸に分泌され、消化、吸収を助ける役目をしています。

犬では尿中にある程度検出されても正常と判断される場合がありますが、猫の尿や犬でも多量のビリルビンが尿中に検出された場合は異常と判断されます。尿中のビリルビンが多い場合は血液中のビリルビンの量も多い事が推測され、この場合、まず肝臓の異常が考えられます。

ビリルビンが血液中に多くなると体内の粘膜に吸収され、俗にいう黄疸という症状になります。肝臓の異常の他に上記の溶血性疾患の場合でも尿中にビリルビンが検出される場合があります。従って尿の色が赤いだけでなく、茶色やオレンジ色をしている場合でもかなり異常があると考えてください。

5)ケトン

 尿中にケトンが含まれているということは、体の中で多くの脂肪がエネルギー源として使用されている状態であることを示しています。通常からだの中では糖をもっとも多くエネルギー源として使用していますが、糖尿病などで糖がエネルギー源として使用できない場合に体は脂肪をエネルギー源として使用します。

正常な量ならば問題ないのですが、分解する脂肪の量が多すぎるとこの脂肪の分解物であるケトンという物質がが血液中に多くなり、ケトアシドーシスという状態になり、尿中にケトンが排泄される様になります。

ちょっと難しいですが、この状態が起こるのが糖尿病です。糖尿病がかなり進行した場合にケトンが尿中に排泄されますのでケトンが検出される場合には、集中した治療が必要になります。

6)比重(1ccあたりの重さ)

 尿の比重は通常犬で1.030以上、猫で1.035以上となります。この場合普通の水であれば比重は1.000となりますので、比重が高いということは、体の中の老廃物を多くふくんでいる事になります。

この数値はつまり濃いおしっこ、薄いおしっこを見分けるために使用しています。濃い尿は体内の水分が少ない状態か、または排泄される老廃物が多い事を示していますが、水分を多く取ればほぼ解決しますのでそんなに問題ではありません。尿が薄い場合は、単に体の水分が多い状態だけでなく、腎臓での老廃物の処理量の低下の可能性があります。

また他の要因で、水分を多く摂取し多量の尿をする場合もありますので、普段の飲み水の量、尿の量、回数を良く観察しておき、明らかに飲水量、尿量、回数が多くなった場合、尿比重も下がっている(おしっこが薄くなっている)ことが考えられます。この状態を我々は多飲多尿と呼んでいますが、重大な病気の可能性がありますので多飲多尿が見られる場合は尿の検査をお勧めします。

 また尿中のリン、マグネシウム、カルシウムなどは尿が濃いと結合して結晶化し、尿路結石が起こりやすい状態になる可能性がありますので、尿を薄くする処方食を与えて結石ができにくい状態にする治療を行う場合があります。

7)尿蛋白
 ヒトでは尿に蛋白が検出されると大変ですが、犬、猫でも検出されます。但し尿蛋白の検出は採尿方法、比重によっても左右されますので、他の検査項目などと照らし合わせて解釈しています。尿中に蛋白が検出される場合に、他の検査項目で検出されることが多いのは、膀胱炎などの炎症/出血による細胞成分、細菌や精子(オスの場合)などです。しかしこれらが検出されずに尿蛋白が多い場合は腎臓の異常の可能性が考えられますので、慎重な治療が必要なこともあります。

8)尿沈渣
 尿中に含まれている固形成分を遠心分離して顕微鏡で調べます。どんなものが顕微鏡で見えるかと言うと、赤血球、白血球、尿路上皮細胞、円柱と呼ばれる変成した蛋白質、結晶、また腫瘍がある場合は腫瘍細胞などが見られます。これらのことは尿中でなにが起こっているか調べるために重要なてががりとなります。あとでこのことについて述べますが、ゴミなどが含まれていると正確な検査が出来なくなりますので、尿を採取する場合なるべく他のものが入らないようにする必要があります。

9)その他
 もちろんその外に、匂いや色などについても検討します。まだ試した事はないですけど糖尿病のおしっこは甘いのでしょうか?(甘いはずですけど・・・)
おしっこの回数や、一度にする量も診断するための大事な情報になりますのでよく観察しておいてください。

■尿の病気

 尿の病気については、尿検査のところでも述べましたのでここでは簡単に紹介します。

1)膀胱炎
 膀胱炎は細菌などが感染して膀胱の粘膜が炎症を起こし、主な症状としては血尿(血液の混じった尿)、頻尿(何回も尿意をもよおす)などをおこします。尿路結石、腫瘍などから二次的にも起こることがあります。

通常は抗生物質や消炎剤で治療しますが、体の中で分解されずに尿中まで効果の続く薬を使用する必要があり、膀胱粘膜中にいる細菌に対する治療に時間がかかります。また一度治っても再発することがあり、尿の性状を改善して再発を防いだり治療の補助とするため、処方食を与える必要もあるかも知れません。

2)尿路結石
 一言で説明するのは難しいのですが、尿中の結晶成分(リン、マグネシウム、カルシウム、尿酸など)が結晶化し、尿中に出現した状態です。単に尿中に検出されても、即、病的な状態とは言えませんが、長期間続いた場合や、多量に出現したり、結晶が固まって大きくなってしまった場合に、尿道に詰まったりして尿がでなくなる場合があります。また膀胱や尿道などの尿路の粘膜に付着して炎症を起こしたり、細菌感染の原因になったりします。

結石または固まった結晶が尿道に詰まると危険です。尿が出せなくなりますので膀胱破裂を起こしたり、尿によって体外に排泄されるはずの老廃物が体内にたまって高窒素血症となり死につながります。
また尿道につまらないでもそのまま放置しておくとどんどん膀胱中に増えたり、大きくなって膀胱の中が結石だらけになってしまう事もありますので、異常が見られた場合はすぐに治療が必要です。

治療方法は上記の膀胱炎の治療のほかに、結晶、結石を分析してどんな成分が含まれているか調べて、その成分の尿中の量を制限したり、結晶化しにくくする処方食を与えたり、重症の場合には手術で尿路内の結石を取り除く場合もあります。

3)腎不全
 一言に腎不全といっても、病気の治療法は異なる場合があります。まず急性腎不全と慢性腎不全があります。

急性の場合は何らかの原因によって腎機能が低下、または一部停止してしまいます。腎臓の細胞は壊れてしまうと2度と回復することはありません。残された正常な細胞がその分の機能をまかなう事によって、腎臓としての機能を果たしています。集中的な治療によって元通りの腎機能に戻るよう治療を行いますが、原因や治療の遅れによってはそのまま慢性腎不全に移行してしまう場合があります。

慢性腎不全は急性腎不全の症状がゆっくりと進行します。少しずつ腎機能が衰えてきますので、初期の場合はあまりはっきりとした症状を表さないかもしれません。この場合治療によって病気の進行を遅らせる事は可能ですが、完全な回復は望めません。従って残された腎臓の機能を大事に使い、負担をかけないようにして腎機能をサポートする治療が中心となります。

ヒトでは人工透析や腎移植が治療方法となりますが、動物の場合は技術、費用、医療環境などの違いにより一部でしか行われていません。

 また原因によって腎前性、腎性、腎後性に分類することが出来ます。簡単にいうと腎前性は尿を作るための水分がうまく腎臓に循環していない事が原因であり、腎性腎不全は腎臓の細胞に異常が起きて尿がうまく作れなくなること、腎後性腎不全は尿が体外に排泄できなくなることによって起こります。しかし腎前性、腎後性でも体内に蓄積した老廃物によって腎臓の細胞が損傷を受け腎性の腎不全に移行します。

いずれの腎不全でも体内に老廃物が蓄積し高窒素血症(体内にたんぱく質の老廃物である窒素が溜まる)が起こり、更に進行することにより尿毒症になりますのですぐに治療が必要となります。また腎不全により高血圧や骨の異常などの二次的な疾患も起きてくる場合がありますので継続的な観察が必要です。

4)糖尿病
 糖尿病については長くなりそうなので、簡単にお話しすると体内で利用されるべき糖分が細胞に吸収されず、血中に蓄積されて尿中に溢れ出している状態をさします。

この主な原因になるのがインシュリンです。インシュリンはすい臓で分泌されていて糖分を体が利用するために重要な役目を果たすホルモンです。インシュリンの量が少なかったり、インシュリンが充分にあっても体がこれに反応しなければ糖分は血液中に蓄積されてしまいます。それらが尿中にあふれた状態が糖尿となります。

治療にはインシュリンの注射や食事療法が中心となります。糖尿病はコントロールが難しく動物、飼い主、獣医師が協力して治療を行うことが大切になります。それぞれが負担を負いながら毎日治療を行う事が病気の進行を食い止める唯一の手段になります。

5)その他
 そのほかにも尿検査の項目で挙げたようなさまざまな疾患が、尿に異常をもたらします。ここでは省略しますが、尿に異常が見られた場合は泌尿器系(腎臓、膀胱などの尿路)だけでなく全身の異常の可能性があります。

■尿の病気の予防

 尿に関連する病気の予防は尿の状態を良く観察する事、尿検査をなるべく正しく行うことが大切になります。尿の回数、量、色を良く見る事、また尿を採取して検査する場合はなるべく清潔で新鮮な(表現が変?)尿を使用する事です。

尿の採取の仕方は様々ですが、スーパーなどの食品用のトレイなどを利用して尿を取って尿採取容器などに移し、なるべく早く検査できるようにすることと、どうしても検査まで時間がかかる場合は冷蔵庫等に保存して尿の性状が変化しないようにして下さい。また治療に時間がかかる場合が多いので、何回も検査して正常なことを確認する必要があります。

また上に挙げたような病気の治療には食餌療法が伴う場合が多いので、普段から偏食などをしないようにしておく事が重要です。

最後に
 この文章はあくまで私(Dr.Momo)が感じたことや一般的な症状等について書かれたものであって、全てのペットにあてはまるものではありません。また勉強不足もあって一部正しくない表現があるかもしれませんのでご了承ください。あなたがおかしいと思われたり、あなたのペットに異常がみられた場合はかかりつけの動物病院で診察を受けて相談していただくようお願いします。

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