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消化のしくみ

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消化のしくみ

■消化管

 前項で栄養成分(蛋白質、脂肪、炭水化物等)の必要量について人と犬や猫の違いを述べてきました。人、犬、猫それぞれに体が要求する栄養が違うのだから、同じものを食べていたのではダメだということがある程度おわかりになったと思います。

さて、次に何を述べるかというと、通常、栄養学の教科書的に進めれば微量栄養素であるビタミンやミネラルについて、ひとつひとつ説明することになります。例えば、ビタミンAは体の中でどんな働きをしていて、必要な量は云々というちょっと退屈な話しになります。

しかし、その話しに行く前に犬や猫はどうやって食物を消化し吸収しているのかという話しを先にしておきたいと思います。つまり、食べ物が口から入って、体の中で消化吸収され、最後に未消化の残渣(つまり便)となって排泄されるまでの行程について、少し考えてみたいと思います。(その方が少しは退屈しないかも?)

今回はまず、全体としての消化管についてです。

消化管は管というくらいですから、一本の管(クダ)です。口から始まり、食道、胃、小腸、大腸、そして肛門にいたるまでつながっています。この構造は人も犬猫も同じです。

普通、こうした解剖学的な話しは、図で説明するのがわかりやすいのですが、メルマガではちょっと無理なので、ここでは消化管の形態は無視して、その長さだけを比べてみます。

消化管の長さのうちほとんどは腸で占められています。よって腸の長さを比べてみると、その生物種の特徴がわかるのです。今回は、腸の長さそのものを比べるのではなく、生物による体の大きさの違いを考慮して、体長に対する腸の長さを比較してみましょう。

すると、猫の腸の長さは体長の約4倍、犬は約5倍、人は約6倍、ついでに馬は約9倍となります。さて、猫は肉食、犬と人は雑食、馬は草食です。植物の方が消化に時間がかかるため、腸の長さもその順に長くなるというわけです。

このように、猫、犬、人それぞれに必要な栄養素の違いは、消化管の違いからもわかるというわけです。

■口に入る前

 今回から、口から順に消化管をたどって消化のしくみについて述べてみたいと思います。でも、その前に口に入る前の消化についてまず最初に考えてみますと、これが結構やってます。特に人の食事はそうです。水を加えたり、細かく切ったり、砕いたり、つぶした
り、煮たり、焼いたり、蒸したり、といろんなことをやって食物が消化しやすいようにしています。

 では、犬や猫はどうでしょうか? 犬や猫が野生の状態であった時を考えると、獲物をなんの加工もなしでそのまま食べるのが当たり前です。だから、犬や猫にはなんの加工もしないで生のままの食材を与えるのが一番よいと思われるかもしれませんが、そうでもないのです。

犬や猫が獲物を食べるときには、その獲物の胃や腸のなかにある内容物も食べます。その内容物はかなり消化された状態のものです。獲物が草食動物であれば、肉類以外からの栄養素をそうした消化された状態の胃や腸の内容物から、取っているのです。だから、犬や猫に穀類などを与える時は加工調理して、消化しやすくしてから与えた方が彼らの体に合っているといえます。

 では、肉類はどうでしょうか? これは専門家の間でも生で与えた方が良いという人と、加熱して与えた方が良いという人に分かれます。私は場合によりけりだとは思いますが、生肉派です。確かに生肉にはいろんな酵素が含まれていて、それが含まれる栄養素以上
に、食べる方にとっていろんなパワーを与えてくれる気がします。

あの冒険家の上村直己さんは、本当に過酷な状況下では、肉は生で食べないと体のパワーが出ないと言って、極北探検の時もずっと生肉を食べていたといいます。

でも、こんな話しも聞いたことがあります。上村さんよりもずっと昔に北極を探検した探検家の話しです。途中で食糧が尽きたので、白熊を銃で撃ってその生肉を食べて飢えをしのぎ、なんとか村にたどりついたが、その後発狂して死んだというものです。

それは、白熊の肉を加熱せずに食べたために白熊の体にいた寄生虫がその探検家に移り、その寄生虫が脳内に迷走するタイプのものだったため発狂したそうです。

つまり、生で食べても安全かどうかということをまず考える必要があります。犬や猫に生肉を与える場合、寄生虫等の可能性がある豚肉は加熱した方が良いと思いますが、牛肉や鶏肉は生のままでもかまわないと私は思います。

ただし、現代の食事、特にペットフードに慣れきってしまった犬や猫にいきなり生肉をたくさん与えても、うまく適応できませんので、徐々に慣らすことが必要です。また、もちろん生肉だけの食事では栄養が偏りますので、そうした手作りの食事を与える時には他の食材との組み合わせを栄養学的に十分考えて与える必要があります。

なんだか、後半は生肉の与え方講座になってしまいましたが、手作りの食事については栄養学の基本を一通り終えたところで、お話ししてみたいと思います。

■唾液

 さて、今回から、いよいよ口の中へ入っていきます。

 口の中では食物を噛むことによって小さくし消化しやすくします。さらに小さくなった食物を唾液と混ぜ合わせます。そうして小さくなって唾液に溶けた食べ物の粒子は、舌の表面にある味蕾(みらい)という味を感じる部分に接触します。そうすると、おいしいとかまずいとかを感じるというわけです。

 唾液は唾液腺から口の中にでてきます。唾液腺とは唾液を作って、口の中に出す役割をしているところです。犬や猫の唾液腺は大きなものとしては次の4つがあります。図解して示したいところですが、できませんので文章で書きます。このうち、頬骨腺は人にはありません。

顎下腺(がっかせん): 下あごの上あたりにある。
舌下腺(ぜっかせん): 舌のすぐしたあたりにある。
耳下腺(じかせん): 耳の前あたりにある。
頬骨腺(きょうこつせん): 上あごの上、目のしたあたりにある。

 さて、消化という点での唾液の働きはなんでしょうか? まず、第一に唾液は食べ物と混ざり合って、食べ物を飲み込みやすくします。特に乾燥した食べ物の場合はそうです。ドライタイプのペットフード等を食べる時は唾液が重要な役割をはたしていると言えそうです。

唾液は食べ物を見たり、匂いを嗅いだりしただけで出てきます。(有名なパブロフの犬の実験はそれを研究したものです。ここでは詳細は述べませんが。)このように唾液腺は食べ物が口に入る前にすでに消化の準備をしているのです。食事の前によだれを垂らして
いるわんちゃんはいつでもお食事OKの状態なのです。

そして、食べ物が口の中に入り、物を噛むとさらに唾液が出てきます。そして、唾液の第二の働きが始まるのです。それは唾液内に含まれる消化酵素です。人の唾液にはα−アミラーゼという澱粉を消化する酵素が含まれています。ですから、口の中でご飯をよく噛めば噛むほど、ご飯の中の澱粉が消化されるわけです。だから人の親は子供に「よく噛みなさい」と教えるわけです。

 ところが、犬や猫の唾液にはなんとこのα−アミラーゼが存在せず、口の中では澱粉の消化は行われないのです。犬や猫はもともとは肉食動物で、特に現在でも肉食動物である猫は昔から澱粉の多い食事を食べていなかったためと思われます。

また、犬などは俗に犬食いなどというように、骨などの硬いもの以外はほとんど噛まずに飲み込んでしまうので、唾液に消化酵素があっても、あまり意味をなさないとも言えます。

このように、動物の習性や行動はその消化のしくみとも深い関係にあると言えます。犬や猫は糖類の消化が苦手なので、よく加熱調理してから与えた方が良いということを以前に述べましたが、それはこんなとこにもあらわれているのです。

■歯

 歯をみると、その動物が何を主食にしているかがよくわかります。
犬や猫の歯とわれわれ人の歯が随分異なっているのはご存知だと思いますが、今回は草食獣である馬も加えて比較してみたいと思います。まず、数についてみてみましょう。
  切歯 犬歯 前臼歯 後臼歯 合計
12 10 30
12 16 10 42
12 32
12 (4) 12/14 12 40/42
(馬の犬歯は雄にしかない)

人で俗に言う前歯が切歯、八重歯が犬歯、奥歯が臼歯というところでしょうか。歯の数を比較してみても、肉食から草食へとなんらかの傾向はあまりみられないようです。ただ、後臼歯は草食動物の方が数が多いようです。

 実は動物の歯は数よりも形をみると随分と違いがわかります。
(メルマガでは形をおみせできないのが残念ですが。でも自分ちのワンちゃんネコちゃんの歯ならよく観察できますよね。)

まず切歯については、犬や猫は先が細く尖った歯ですが、人や馬は平たくて尖っていません。また、馬の切歯は草を噛み千切れるように人よりもずっと大きく発達しています。

次に犬歯ですが、犬も猫も大きくて、よく尖っています。それに比べると人の犬歯は少し尖っていますが猫や犬ほどではありません。さらに馬の場合は犬歯は雄にしかなく、しかも非常に小さいものです。

次に臼歯についてですが、猫の臼歯はすべて肉を裂けるように尖っています。犬の臼歯も尖っていますが、一番後ろの臼歯だけはものをすりつぶせるように尖っていません。このあたりに犬の雑食性がうかがわれます。一方、人も馬も臼歯は文字通り臼の形をしていて、ものをすりつぶすのに適しています。特に馬の臼歯は大きく発達しています。

 このように、当たり前のことですが、動物の食性と歯は極めて深い関係にあり、歯の特徴が食性を表しているのです。猫は完全な肉食性、犬は元は肉食性だが少し雑食性、人は完全な雑食性、馬は完全な草食性ということが、歯からもよくわかると思います。

■食道

 食道は口から胃までの間の筋肉で出来た管で、食物を口から胃まで送り届けます。食道では消化酵素も分泌されないし、消化がおこなわれることはありません。口から胃までのほんの短い間の通り道なので、消化という観点ではあまり注目すべき点はありませんが、食道の働きとしてひとつ重要なものがあります。それは胃の蓋としての働きです。

普段、食道は胃の内容物が逆流して口の方へ出てくるのを防いでいます。つまり、胃が収縮して胃の中の圧力が高まっても、食道と胃の境目(噴門と言います)が緩むことはなく、胃の内容物は下の十二指腸の方へ押し出されてゆきます。ところが、何か異常事態があった時にはこれが開き、嘔吐をします。

嘔吐は脳の嘔吐中枢というところで、嘔吐をおこすかどうかが調節されています。犬はこの嘔吐中枢が発達していて、簡単に嘔吐することができる動物なのです。食べたものに少しでも異常があると、すぐに吐いて出せるようになっていて、野生の場合などはこれが体を守るために役に立っていると思われます。

■胃

 食物は食道から胃に入ると、一時ここでとどめられて、胃酸、粘液、消化酵素(ペプシン)等とと混ざり合い消化されます。胃酸はなんと塩酸でできています。皮膚などただれてしまうほどの酸なので、普通ならば胃の粘膜も溶けてしまいそうなものですが、正常な胃の粘膜はまったく平気です。

これは胃の粘膜の細胞から分泌される粘液によって、胃が溶けないよう守られているからです。また、粘液の中には胃酸を中和する物質などがあり、それらによって酸が中和されているのです。また、粘膜が万一傷ついたりすると大急ぎで修復する機能がそなわっています。

胃は食物をただ貯めているのではなく、腸の方へ進めながら、収縮によってさらに細かく粉砕します。そして一定量ずつを調整して腸の始まりである十二指腸へ送り込むのです。

 胃での胃酸などの胃液の分泌は便宜的におおきく3つの段階に分けることができます。まず、第一は胃に食物が届いてなくても胃液が出てくる段階です。これは食物を見たり、匂いをかいだり、それを思い浮かべるだけで胃液の分泌が始まる段階です。食物が口の中に入り、まだ胃に達してない段階でも、もちろん胃液の分泌が起こります。

次は実際に胃に食物が入り、その刺激によって胃液が分泌される段階です。最も活発に胃が活動するときです。

そして、最後は食物が胃を過ぎて腸に入り始めた段階で、胃液分泌などを抑えるようになるといわれています。実際にはこれらの3つの段階は重なり合って起きているので、明確に区別できるものではありませんが、頭の中で理解するには都合よいと言えます。

 さて、先に述べましたペプシンは胃で分泌される代表的な消化酵素ですが、うまくできているもので、このペプシンは胃酸のような強い酸の中で最もその働きが強くなる性質をもっています。

ペプシンは蛋白質を切断して細かくする消化酵素ですが、蛋白質を分解する酵素は他にも膵臓から腸に分泌されるプロテアーゼというものがあり、特にペプシンが絶対必要というわけではありません。

ペプシンの特徴としては植物性よりも動物性の蛋白質の消化に関係していて、コラーゲンという動物性の蛋白質を分解する能力が最も高いのです。その意味で犬よりも肉食である猫にとって重要な酵素だろうと推測できます。

■小腸と消化酵素

 小腸は小さい腸と書きますが、太さが細いということであって、長さは大腸の何倍もあります。この細くて長い小腸の中で消化の大部分が進みます。実際、食物を消化するための消化酵素のほとんどはこの小腸で活躍しています。

消化酵素は食物の栄養成分である蛋白質、脂肪、炭水化物等をもっと細かい単位に切断して消化吸収しやすくします。蛋白質はアミノ酸やペプチドに、脂肪はグリセロールや脂肪酸に、炭水化物は単糖に、というように、それぞれより小さな単位に分解されるのです。

これらの消化酵素は膵臓から出てくる膵酵素と、小腸の粘膜から出てくる腸酵素の二つのグループがあります。膵酵素は蛋白質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、炭水化物を分解するアミラーゼの三つが代表選手です。腸酵素は膵酵素等によって分解されたそれぞれの単位を、さらにもっと細かい単位に分解する役目を担っています。今日はそのうち炭水化物の消化吸収についてもう少しお話しします。

炭水化物の代表選手は澱粉ですが、澱粉は分子量が10万から100万以上もある巨大な分子です。澱粉の最小の構成単位はグルコースといいますが、そこまで分解されるためには何度もの酵素分解を経なければならないのです。

澱粉はまずアミラーゼの一種であるα−アミラーゼによってα−デキストリンという分子量が約1800くらいの大きさの分子にまで、分解されます。さらに腸酵素であるオリゴサッカリダーゼによってもっと小さなグルコースが10個未満くらいの大きさのオリゴ糖にまで分解されます。そして、最終段階として、マルターゼ、イソマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼの4種類の腸酵素が最後のグルコースにまで分解するのです。この4種類の酵素がどのように働くかについて説明すると、ますます複雑になるので、下図で簡単に説明します(実際はもっと複雑ですが)。

この長〜い分解過程をまとめてみると、

澱粉
  ↓α−アミラーゼ
α−デキストリン
  ↓オリゴサッカリダーゼ
オリゴ糖
  ↓マルターゼ、イソマルターゼ
     一番端しのグルコースを除去したり、マルトトリオース(グルコースが3つつながっ     たもの)やマルトース(グルコースが2つつながったもの)に分解する。
マルトトリオース、マルトース
  ↓スクラーゼ、マルターゼ
グルコース

という感じになります。(こんなこと覚えても・・・??)

さて、上の説明では最終分解に関与する酵素のうちのラクターゼが出て来ませんでした。実はラクターゼは牛乳等に含まれる炭水化物であるラクトース(乳糖)を最小単位であるグルコースとガラクトースに分解する酵素で、ちょっと毛色が違うので上の説明には加えま
せんでした。

ラクターゼは幼い動物に多く存在し、大人の動物にはもともと存在しないか少ないものなのです。ですから、成犬や成猫に牛乳等を与える時は、お腹をこわさないか様子をよく見て注意しながら与えることが大切です。

最後に。以前にも述べたかと思いますが、膵酵素であるアミラーゼの能力は犬の方が猫の3倍も高いのです。また澱粉の消化に関係する腸酵素の能力も犬の方が高いので、澱粉の消化吸収能力は犬の方が猫の2.5倍もあります。

また、犬は食事中の炭水化物の量に応じて、小腸における炭水化物の吸収速度を調整することができますが、猫はできません。元来が純粋な肉食動物である猫にとって澱粉を食することが少なく、その必要性がなかったせいでしょう。

というわけで、ドッグフードを猫に与えると、猫にとっては消化吸収しきれない澱粉を多く含む上に、その消化吸収を調節もできないので、腸に大変負担がかかりよくないことがわかります。尤も、質の悪いキャットフードも澱粉が多くてあまりお勧めできるものではありませんが。

■小腸での蛋白質消化

今回は小腸での蛋白質の消化についてです。蛋白質は実は胃でも消化されます。でも、その量は少なく、蛋白質の9割以上は小腸で消化されるのです。ですから、蛋白質の消化を担っているのは小腸ということになります。

前回述べた炭水化物と同様に、蛋白質も消化酵素によって、蛋白質を構成するアミノ酸という単位に分解されて、吸収されます。でも、一度にアミノ酸まで分解されるのではなく、アミノ酸がつらなったペプチドというものにまず分解されます。このペプチドに分解する酵素としては、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼなどがあります。これらは元々は膵臓から分泌されたものです。

これらの酵素によって蛋白質は分解され、大きなペプチドや、小さなペプチドであるジペプチド(アミノ酸が2個連なったもの)やトリペプチド(アミノ酸が3個連なったもの)に分解されます。また、少量ですが、一部はアミノ酸にまで分解されるものもあります。

このうち、大きなペプチドは腸粘膜に存在するアミノペプチターゼという酵素によってさらにちいさなペプチドに分解されます。ジペプチドやトリペプチドといった小さなペプチドは腸の細胞に吸収され、細胞内のペプチダーゼによってアミノ酸に分解され、吸収されます。また、アミノ酸まで分解されたものはそのまま腸の細胞に吸収されます。このようにして、蛋白質は消化吸収されていくのです。


■脂肪の消化

脂肪の消化の過程はとても複雑です。脂肪はまず胃でリパーゼという消化酵素によって分解されます。脂肪の大部分はトリグリセリドというものです。トリグリセリドはグリセロールと3つの脂肪酸からできています。こんな感じです。

グ − 脂肪酸

セ − 脂肪酸

| − 脂肪酸


トリグリセリドは十二指腸で胆汁と混和し、十分に乳化されます。乳化されることによって消化酵素の作用を受けやすくなるのです。
(乳化とは水と油をくっつけやすくする作用です。それによって、親水性の消化酵素と油である脂肪の反応をやりやすくするのです。)
こうして、トリグリセリドは膵液中の脂肪分解酵素である膵リパーゼによって分解されます。分解されてできるのはグリセリンと脂肪酸です。

グ − 脂肪酸

セ − 脂肪酸  →  グリセリン、脂肪酸、脂肪酸、脂肪酸

| − 脂肪酸


グリセリン、脂肪酸などは疎水性なので、効率よく吸収されるために胆汁と乳化されてミセルというものになってから、小腸粘膜の上皮細胞へ取り込まれます。

○○○○○○○○○○○○○○
○胆汁   脂肪酸  胆汁○
○グリセリン  グリセリン○
○胆汁        胆汁○
○脂肪酸      脂肪酸○
○胆汁 グリセリン  胆汁○
○○○○○○○○○○○○○○
     ミセル

上皮細胞内では取り込まれたミセルから再びトリグリセリドが合成されます。ミセルは吸収されるために一時的にできたものといえそうです。出来たトリグリセリドはコレステロールなどといっしょにカイロミクロンというものになります。

グ − 脂肪酸

セ − 脂肪酸 + コレステロール + リポ蛋白等

| − 脂肪酸

          ↓↓

        カイロミクロン

出来たカイロミクロンは上皮細胞のすぐ下にあるリンパ管という管を経由して血液中に入り、体の組織に運ばれて脂肪として利用されます。ただし、一部の脂肪酸、グリセリンは小腸上皮の毛細血管からカイロミクロンを形成せずに直接門脈を経て肝臓へ運ばれるものもあります。 

以上が脂肪の消化のしくみをごく簡単に述べたものです。
ちょっとややこしいですね!
ペットにあんまり役に立つ話しではありませんでしたので、ここで、少し猫に関係している話しをしましょう。

上の話しの中で脂肪の分解に胆汁が必要であることがわかったと思います。胆汁は肝臓で合成されアミノ酸のタウリンやグリシンとひっついて蓄えられています。この時、猫は他の哺乳動物と異なり、グリシンは利用できず、タウリンだけしか利用できないのです。

胆汁は消化によって毎日たくさんの量が十二指腸に分泌されますが、回腸で再吸収されてリサイクルされて使われます。これを腸肝循環と言います。しかし、100%の回収はできないので、猫は糞便中への排泄によるタウリンの不足分を食事から取らないとだめなのです。こんなところでも猫にとってタウリンは必須なのです。

■大腸

大腸は小腸側から言うと盲腸、結腸、直腸の3つに分けてよく説明されます。盲腸は字のごとく先が盲状になった袋の形をしています。盲腸は猫では非常に小さく、犬は猫よりは大き目です。一方、馬は盲腸が非常に大きく、立派に機能しています。

次の結腸は大腸の大部分を占めます。結腸はさらに上行結腸、横行結腸、下行結腸の3つに分けられますが、これも字のごとくまっすぐに上に行き、それから横に進み、最後に下に向かってまっすぐに伸びて、直腸につながっています。結腸は波上運動をゆっくりと繰り返し内容物を混ぜながら前方へ送ってゆきます。こうして内容物は結腸まで送り届けられ、ここに溜められて排便を待つわけです。

内容物は最終的には糞便となって排泄されますが、糞便中の水分は少ないものです。これは大腸で効率的に内容物の水分が吸収されるためで、なにかの異常でこれがうまくできないと糞便中の水分が増えて、下痢になるのです。犬や猫では、大腸では主に水分と電解質が吸収され栄養成分の吸収はあまり行われません。栄養成分の消化と吸収はもっぱら小腸の役目です。しかし馬などでは大腸も栄養成分の吸収に大きな役目を担っています。

さて、大腸にはたくさんの細菌がいます。細菌といっても悪さをするわけではなく、健康な状態ならば、宿主である動物と健全な共生関係を保っています。これらの細菌は動物が生まれてしばらくすると大腸内での数や居場所が決まって、安定した状態になります。その数は大腸の内容物1gあたり10の10乗個以上いるというから、すごい数です。実は糞便の中にはこれらの細菌の死骸がたくさん含まれているのです。
小腸から大腸内に送られてきた未消化の有機物は、これらの細菌により分解されて有機酸になったりします。その際、二酸化炭素やアンモニアなどの種々のガスも発生します。これがおならのもとです。

最後に
 この文章はあくまで小動物栄養学に関する一般論を述べたものです。すべてのペットにこの内容があてはまるわけではありません。ご利用にあたっては各人の責任と判断においてご利用くださるようお願い致します。

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